マーチンゲールとは:負けるたびに数量を増やす考え方

マーチンゲールは、損失が出るたびに次の取引数量を増やし、一度の勝ちでそれまでの損失を回収しようとする資金配分の考え方です。典型例は2倍、4倍、8倍とロットを増やす倍々型です。FXでは、ナンピンと組み合わされ、価格が逆行するたびに追加ロットを倍増する設計が見られます。

ナンピンは「含み損側へ追加する行為」、マーチンゲールは「負けるたび数量を増やす設計」です。固定0.01ロットを同じ間隔で追加するナンピンはマーチンゲールではありません。一方、0.01、0.02、0.04と増やして追加するなら、ナンピンとマーチンゲールの組み合わせです。

固定ロットナンピンと倍々マーチンの違い
比較項目固定ロットナンピン倍々マーチン
追加ロット毎回同じ前回の2倍など
合計ロット回数に比例して増える指数的に増える
平均建値ゆっくり現在価格へ寄る後半の建値へ急速に寄る
逆行時の損失段階的に増える後半ほど急増する
見た目の勝率高く見えやすいさらに高く見えやすい

0.05ロット開始・1.5倍の早見表

0.05ロット開始・1.5倍
回数各回ロット累計ロット初回比
1回目0.0500.0501.0倍
2回目0.0750.1252.5倍
3回目0.1130.2384.8倍
4回目0.1690.4068.1倍
5回目0.2530.65913.2倍
6回目0.3801.03920.8倍
7回目0.5701.60932.2倍
8回目0.8542.46349.3倍

1.5倍でも8回目の累計は初回の約49.3倍です。2倍より緩やかでも、追加回数が増えれば必要証拠金と1pips当たり損益は大きくなります。

0.01ロット開始のマーチンゲール早見表

以下は、ドル円など円絡みの通貨ペアで1.00ロットを10万通貨、1pips当たり約1,000円とした概算です。実際の契約サイズやpip価値は口座・通貨ペアで異なるため、利用環境の計算ツールで確認してください。表の「1pips当たり損益」は、その時点の合計ポジションが1pips動いた場合の概算です。

0.01ロット開始・2倍マーチン早見表
回数単発ロット合計ロット合計の1pips損益目安注意点
1回目0.010.01約10円初回は小さく見える
2回目0.020.03約30円合計は初回の3倍
3回目0.040.07約70円まだ小さく感じやすい
4回目0.080.15約150円初回の15倍を保有
5回目0.160.31約310円必要証拠金も目立ち始める
6回目0.320.63約630円10pipsで約6,300円変動
7回目0.641.27約1,270円小口開始でも1ロット超
8回目1.282.55約2,550円10pipsで約2万5,500円変動

0.01ロットという小さな開始量だけを見て「低リスク」と判断すると、後半の合計数量を見落とします。8回目の単発ロットは初回の128倍、合計ロットは255倍です。追加間隔が20pipsなら、8回目まで到達する前に各建玉が別々の含み損を抱えているため、単純な1pips損益以上の負担がすでに発生しています。

0.10ロット開始のマーチンゲール早見表

開始が0.10ロットになると、同じ倍々設計でも口座への影響は一桁大きくなります。個人が手動で扱うには現実離れした数量へ短時間で到達するため、「何回目で停止するか」を決めずに実行する設計は成立しにくくなります。

0.10ロット開始・2倍マーチン早見表
回数単発ロット合計ロット合計の1pips損益目安注意点
1回目0.100.10約100円初回から損失幅を確認
2回目0.200.30約300円10pipsで約3,000円
3回目0.400.70約700円初回の7倍を保有
4回目0.801.50約1,500円10pipsで約1万5,000円
5回目1.603.10約3,100円証拠金負担が急増
6回目3.206.30約6,300円5pipsでも約3万1,500円
7回目6.4012.70約1万2,700円小さな変動が大損失になる
8回目12.8025.50約2万5,500円1pipsでも口座へ大きな影響

この表は「8回目まで耐えればよい」という意味ではありません。実際には必要証拠金と含み損が先に余力を消費し、スプレッド拡大や急変で予定した価格に注文できない可能性もあります。表の役割は、初回ロットが小さく見えても設計全体は小さくないことを可視化することです。

合計ロット・必要証拠金・含み損は同時に増える

マーチンゲールを評価するときは、単発ロット、合計ロット、必要証拠金、含み損を別々に見ます。必要証拠金は、通貨価格、契約サイズ、レバレッジ、口座条件で変わります。高レバレッジなら必要証拠金が小さく見えますが、1pips当たり損益はロットに応じて増えるため、値動きリスクが消えるわけではありません。

たとえば0.01ロット開始で8回目の合計2.55ロットを抱えた状態では、ドル円が1pips動くと概算約2,550円、10pipsで約2万5,500円動きます。しかも8回目へ到達した時点で、前の建玉にはすでに逆行分の含み損があります。最後の建玉が少し利益になっても、全体がすぐ利益になるとは限りません。

高レバレッジの誤解
必要証拠金を抑えられても、ポジションの値動き損益は合計ロットで決まります。「建てられる」と「耐えられる」は別の判断です。

なぜ一見すると高勝率で儲かって見えるのか

倍々型は、最後に大きなロットを置くため、わずかな反発でもそれまでの損失を回収しやすい構造です。レンジ相場が続く間は連勝しやすく、日次・週次の損益が滑らかに増えることがあります。利用者は「ほとんど負けない」「毎月安定している」と感じやすくなります。

しかし、回収力の高さは最終ロットの大きさによって作られています。戻らない一回が起きたとき、それまでの小さな利益より大きな損失を出しやすい点が問題です。勝率99%でも、残り1%の損失が過去利益と元本を上回れば、運用全体は成立しません。確認すべきは勝率ではなく、最大連敗時に何回目まで進み、最大ポジションと最大ドローダウンがどこまで膨らむかです。

コピトレでは短い運用期間だけを見ると、まだ強いトレンドに遭遇していない可能性があります。月利の高さより、異なる相場局面を経験した期間、最大DD、保有時間、ポジション数の増え方を組み合わせてください。

自動売買・コピトレでマーチン型を見抜くポイント

ストラテジー名に「マーチン」と書かれていなくても、取引履歴から特徴を推測できます。同一通貨・同一方向のポジションが逆行に合わせて増え、後の注文ほどロットが大きい場合は、マーチン型または類似の回収設計を疑います。

  • ロット系列:0.01→0.02→0.04のような規則的増加がある。
  • 同時保有数:含み損が増えるほどポジション本数も増える。
  • 決済の形:複数建玉をほぼ同時に小幅利益で閉じる。
  • 資産曲線:確定損益は滑らかだが、含み損・最大DDが急に深くなる。
  • 運用説明:最大追加回数、最大合計ロット、撤退条件が書かれていない。

候補を見つけたら、ナンピンとマーチンゲールの違いで設計を整理し、XMコピトレ危険度チェッカーへ最大DDや運用期間を入力してください。早見表は怖がるためではなく、自分の投資額で何回目まで耐えられる設計なのかを検証するために使います。

早見表をストレステストとして使う

早見表は「自分は8回まで使わないから関係ない」と読むのではなく、停止予定の一つ先まで確認します。5回で止める設計なら、6回目の単発ロットと合計ロットも表示し、ルール違反を一回したとき口座へ何が起きるかを見ます。含み損中は「今回だけ」と上限を延ばしやすいためです。

次に、追加間隔が半分になった場合を試します。通常40pips間隔でも、急変やロジックの条件によって20pips間隔で建つなら、同じ時間内に段数が進みます。ロット表と価格間隔を別々に見ず、「何pips逆行した時点で合計何ロットか」を一行にまとめると、最大DDとの関係が見えます。

最後に、全ポジションが決済される前にスプレッドが広がるケース、滑りが発生するケース、追加入金を行わないケースを置きます。理論上の倍々計算が正しくても、実口座では執行条件と有限資金が先に制約になります。早見表は勝ち方の表ではなく、設計がどこで現実の制約へぶつかるかを探す表です。

初回ロット・倍率・回数から累計ロットを計算

初回ロット、倍率、回数を入力すると、各回ロット、累計ロット、初回比を表示します。特定通貨の必要証拠金や損失額は、レート・口座条件・通貨ペアにより変わるため、この計算機では断定しません。